古い街並みをよく歩く。時を重ねた建物や店の看板、そしてどこか湿り気をおびたような空気に、歩く自分が包み込まれる感触が好ましい。そうした街歩きを続けていると、ところどころに時間の気流が滞り、まるで時がそこで止まっているかのような場所に行き当たることがある。
それは一見静かで穏やかに見えるけれど、川の瀬で流れが渦を巻くように、時間の渦がそこでは音も立てずに、実は高速の回転を続けているように見えなくもない。いつも古い街を歩き、気になる場所を写真に収めているのは、ひそやかに電荷を高めているそのような場所が、カメラを持った私にトリガーを引かせているからかもしれないと思う。