今回の撮影地は南フランスのアルルです。古代ローマ時代より栄えたところで、旧市街の中心地には今も闘牛などの催しが行われている円形闘技場や、美しい回廊のあるサン・トロフィーム教会などのロマネスク様式建造物が残っています。世界遺産、そしてフォトフェスティバルと、以前から気になっていた場所なので出かけてみることにしました。成田から早朝パリに着き、そのままTGVでアヴィニョンへ。そこからアルルまでの道中、いくつかのひまわり畑を眺めているうちに、長旅の疲れも吹き飛んで、俄然元気が出てきました。眩しい光、濃い青空。この陽光を求めて訪れる人も多いそうです。
アルルは、画家のゴッホが晩年を過ごした地としても有名で、代表作「跳ね橋」や「夜のカフェテラス」が描かれた場所を訪れることもできます。私もさっそく出かけてみましたが…写真的にはあまり興味が沸きませんでした。建造物群も、それはそれで見事でしたが、夜の円形闘技場でナメクジの上に座ってしまったり、虫に刺されたりと、そちらの体験の方が印象に残ってしまうという結果に。
ちょっと痛い体験もありましたが、アルルで何よりも注目したのはゴッホやドーデの短編小説「アルルの女」を彷彿とさせるような女性の優雅な姿です。アルルに着いた日はちょうど祭りがあり、民族衣装を身にまとった人々をたくさん見かけたのですが、どの女性も気品に満ちていました。まぁ衣装の影響もあるのでしょうけれど、噂に違わぬ美人揃い。そして驚いたことに普段の日にも、衣装で歩いている人が…それが街並みとよくマッチしていてなんとも素敵でした。どことなく時間もゆったりと流れているようで、人々の物腰が穏やかなことも印象に残りました。バルコニーで犬とくつろぐ老人にカメラを向けていると、家の中から奥さんが現れてキャンディーを下さったり、青や緑の扉から笑い声が聞こえてきたり…観光名所よりも、眩しい陽光、そして街歩きで出会った人たちの澄んだ眼差しが想い出に残る旅でした。